前回の記事でミャンマーのSIMカードについて再調査する中でミャンマーのスマホ決済(モバイル決済)が加速しつつあるという記事を読んだので、日本語の情報はほとんどないようなので前回の記事の中で紹介しようと思いましたが、文章の内容が混乱しすぎるので本記事で別枠としました。
ミャンマーでスマホ決済が急速に広がりつつある背景
- デジタルマネー市場の最初期から4Gネットワークと中華スマホなどの値段の安いスマホが存在し、特にSIMカードが非常に安価で供給されたため、ミャンマーの人口よりも多いほど流通した。
- 中国でデジタルマネーが広がった条件に銀行口座保有者が少ないことがあげられるが同様にミャンマーでも銀行口座を持っている人が少なかったため、銀行の支店やATMの数も非常に少なかったため、送金や受取はエージェントが行っており、既存の金融ネットワークをデジタルマネー市場のネットワークに転用できた。
- 銀行口座を持たない人にとっては、送金は自身で遠い距離を移動して現金を持ち運ぶか、誰かに頼んで持って行ってもらうしかなく、なくしたり、盗まれたりまた高額な旅費を必要とするなど非常にリスクを伴ったが、非常に安全で簡単に送金ができるようになった。
ミャンマーのスマホ決済アプリ
通信キャリア系スマホ決済アプリ
WavePay
WavePayは前の記事で紹介したSIMカードのノルウェーの巨大企業Telenorが運営するWアプリです。アプリを起動してみると国民登録証(National Registration Card:NRC)を必要としているので送金はミャンマーで国民登録証を持っていないとできないと思われます。ミャンマー国内で最も先行しているスマホ決済アプリのようです。またWave Moneyはミャンマー国外でも使えるようにする動きがありました。
M-Pitesan
M-Pitesanはカタール企業のOoredooのスマホ決済アプリです。やはりこちらも国民登録証NRCがないと使用できません。
https://ooredoo.com.mm/portal/en/mpitesan
MPT Money
MPTが運営するスマホ決済アプリMPT Moneyです。ミャンマーの携帯電話キャリア最大手で2500万人以上の顧客がいるとのことで、下記記事によれば先行するWave Moneyに追いつけるか期待されているようです。中国の微信(Wechat)のような生活のインフラにすべて浸透していくようなスーパーアプリに到達できるでしょうか。
ミャンマーで電子マネー 住商・KDDI提携のMPT、携帯の顧客層が強み、農村への送金見込む (2020年1月29日) - エキサイトニュース
ちなみにヤンゴンの知人に聞いたところ、2020年4月12日現在はまだ他社の番号に送金するシステムは確立していないようです。
Mytel Pay Agent
Mytelのスマホ決済アプリ、Mytel Pay Agentです。こちらは調査が行き届かず、どの程度の使用者がいるのかもよくわかりません。下記リンクのデータパックは非常に安い印象を受けますが。
https://mytel.com.mm/package-mobile?tab=Data%20Packs
通信キャリア系スマホ決済アプリはその通信キャリアの使用者を超えて広がりにくいという弱点と金融機関でないので政府の規制を越えにくいという弱点を抱えています。
金融機関系スマホ決済アプリ
KBZPay
上の記事ではKBZPayを試用なさったレポートを書いていらっしゃいますので、
関連記事として紹介します。もしかしたら他のミャンマーのスマホ決済アプリも旅行者でも使えるのかもしれません。どなたかのレポートを待ちたいところです。KBZPayの公式ページは下記からです。
Onepay
AGD銀行が運営するスマホ決済アプリです。公式ページは下記から。
ちょっと面白いのは寄附にも使えるというスマホ決済の宣伝文句で見かけたのは初めてです。仏教徒が多いからでしょうか、寄附や寄進が社会に浸透していることを現わしていると思います。
CB Pay
CB銀行が運営するスマホ決済アプリです。公式ページの必要条件を見るとNRC or Passport とあるので外国人旅行者もパスポート番号で使えるのでしょうか。
Ongo
Ongoはヤンゴン、バゴー、マンダレーで使用できるMOB銀行とRonocが提携して運営しているスマホ決済アプリです。公式ページは下記。
金融機関系スマホ決済アプリはその顧客ベースで使用者を広げようとしていますが、ATMなどの金融機関ベースでしか入金、出金を行えないようです。
独立系モバイルマネー
OkDollar
独立系スマホ決済アプリはその信頼度で大きく劣り、使用者にどう信頼してもらえるかということに大きな問題があります。
ミャンマーのスマホ決済まとめ
既に10社以上が参入しているというミャンマーのスマホ決済アプリですが、スマホ決済アプリが乱立している日本の現状と似ている部分もあり、興味深く事態の推移を見守りたいと思います。
また旅人としてはこういったスマホ決済アプリも旅の利便性を考えると今後現地SIMカードを選ぶ基準になっていくのかなと思いました。何にせよ、お金がスムーズに移動するということはそれだけ経済活動も活発になるとそれだけ発展の速度も急拡大すると思うのでミャンマーの経済発展も加速するのではないかと思っています。