在旅上

2002年から海外で学生したり、働いたりの放浪生活?現在ノマド中の筆者の体験シェア型ブログです

寄附型クラウドファンディング :新型コロナ感染拡大下での自発的社会貢献へ

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新型コロナウイルス感染拡大下の中で以前からあるさまざまな社会問題が浮き彫りになってきました。特に就職氷河期世代として、派遣・非正規労働者・外国人技能実習生の首切りやフリーランスの経済的困難に関しては、自身もフリーランスとして他人事ではありません。

政府の援助以外に何か社会的な援助はなかったかなと考えた中で、社会貢献型のクラウドファンディングを思い出し、少し調べたので纏めてみます。

 

 

寄附型クラウドファンディングとは

 

 寄付型クラウドファンディングとは、名前の通り資金の「寄付」を通じて、特定の事業者のプロジェクトを支援していく仕組みです。また、購入型や投資型とは異なり、金銭的/物品リターンを一切伴わないため、シンプルに資金の提供のみとなります。

クラウドファンディングでは、プロジェクトの進捗状況をネット上から確認できるため、自分が出資したお金がどのように使われているのか、何の目的で使われているのか、きちんと把握することが出来ます。

relic.co.jp

 寄付型クラウドファンディングでは金銭的物質的見返りを求めずに、自分で選んだプロジェクトに寄付をすることが可能です。その為、自身の判断で必要と思われるところにお金を寄附することができます。

この先の新型コロナウイルス感染拡大化の中で政府では手が届かない部分で市民一人一人が自発的に動く必要があるかと思います。そのときに寄付型クラウドファンディングは市民の行動の選択肢の一つになりえます。

寄付型クラウドファンディングと寄付金控除

 納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。なお、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除(コード1260コード1263コード1266参照)を選択することができます
出典:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

寄付型クラウドファンディングの全てが寄付金控除の対象になっているわけではないので注意が必要ですが、所得控除または税額控除で寄附を行った方の税金が安くなるというメリットもあります。


寄附金控除の金額

 次のいずれか低い金額-2千円=寄附金控除額

イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

出典:No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)|国税庁

 日本の社会貢献型クラウドファンディングプラットフォーム

GoodMorning

社会問題と向き合う人のクラウドファンディング - GoodMorning(グッドモーニング)

国内最大のクラウドファンディングプラットホームCAMPFIREの社会問題解決に特化したプラットホームです。新型コロナに関連した下記のようなプロジェクトも既にあります。

camp-fire.jp

READYFOR Charity

寄附型クラウドファンディングReadyfor Charity(レディーフォー チャリティ)
2011年のサービス開始の古参のクラウドファンディングの寄附型プラットフォームです。

readyfor.jp

 海外の寄付型クラウドファンディング

自己責任論が強い日本ではまだまだ難しいのか見かけませんが、海外では生活に困窮した普通の人たちが寄附を直接募ることが可能なクラウドファンディングのプラットフォームがあります。生活困窮者が寄附を直接募るのでスピード感があり無駄がありません。ただやはり税制が追いつかないのか、個人に対する寄付に対しては寄付金控除を受けることは難しいようです。 

GoFundMe

GoFundMe: #1 Fundraiser Platform - Crowdfund Online

GoFundMeは2010年のスタート以来、少し異なるアプローチを取ってきた。それは寄付や募金など、社会的意義を重視した資金集めが可能な場所という位置づけだ。

GoFundMeは過去1年で合計10億ドル(約1,200億円)の寄付を集め、世界最大のクラウドファンディング・プラットフォームとなった。GoFundMeのCEOのロブ・ソロモンは「我々の業界1位のポジションは当面揺るがない」と述べている。彼は同社の創業者らが保有株式の大半をAccel Partnersや Technology Crossover Ventures、Greylock Partnersらに売却した後、7月にCEOに就任した。

「世間ではこれまで、クラウドファンディングはクリエイティブなプロジェクト向けのものと考えられてきた」と語るソロモンは以前、GrouponやYahooで幹部を務めた経歴を持つ。創業から5年に渡り、個人向けの資金調達にフォーカスしたことで、GoFundMeは高い成長性と収益性を達成した。

「製品開発を目的としたキャンペーンであれば、優れたアイデアが出てくるのには限度がある。その一方で、何かしらの目的やニーズを持った個人は必ず存在する」とソロモンは話す。GoFundMeが徴収するのは、集まった資金の5%と、クレジットカード決済手数料だ。つまり、GoFundMeが得た収益は、過去1年で約5,000万ドル(約60億円)に上ることになる。

出典:クラウドファンディングの王者、GoFundMe 年1200億円の寄付を調達 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

www.gofundme.com

www.gofundme.com

外国人の人たちは日本の寄付型クラウドファンディングにもNPO法人などともコンタクトを言語面などで非常に取りづらいので、上のリンクのようにGoFundMeをセーフティネットのように利用している人達もいます。

GoFundMeは世界最大のクラウドファンディングプラットフォームですが、以下の国でしかサポートしていません。オーストラリア、ベルギー、オランダ、リュクセンブルク、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、ドイツ、スイス、フランス、イギリス、アイルランド、スペイン、ポルトガル、イタリア、そしてアメリカ合衆国です。ただ上記の国の住所があって銀行口座などの所定の条件を満たせば、どんな国籍の人であっても寄付を募ることは可能なようです。日本国籍でも現在上記の国に居住していて資金面で困っている方も条件を満たせば寄附を募れますので、是非活用してください。

銀行口座を持ってないということでしたら、TransferWiseのボーダーレス口座も銀行口座と認められるかもしれません。詳しくはGoFundMeに問い合わせてみてください。
ボーダーレス口座については下記記事を参照ください。

Free Borderless Account | Foreign Currency Account in UK - TransferWise

www.zailvshang.com
GoFundMeで寄附を募るための必要条件

アメリカ合衆国
  • US Social Security number or ITIN
  • A US mailing address from one of the 50 states
  • A US phone number
  • A US bank account in your name
  • Must be at least 18 years of age
カナダ 
  • A Canadian bank account in your name
  • A Canadian mailing address
  • A Canadian phone number
  • A Canadian Tax-ID (Social Insurance Number)
  • Must be at least 18 years of age
ヨーロッパ(上記のサポートされているEUの国々のみ)
  • A bank account from the supported EU country you signed up with
  • A phone number from the supported EU country you signed up with
  • A passport from any country or National ID card of the supported EU country you signed up with
  • An address from the supported EU country you signed up with
  • Must be at least 18 years of age
イギリス
  • A bank account in the UK
  • A National Insurance Number
  • A passport from any country or a UK Driving license
  • A UK phone number
  • A UK address
  • Must be at least 18 years of age
オーストラリア
  • A bank account in Australia
  • A physical location in Australia (at which you're able to receive mail)
  • A government-issued ID such as a passport or driver's license from any country
  • A phone number in Australia
  • Must be at least 18 years of age

出典:Starting a GoFundMe Requirements – GoFundMe Help Center


日本の外国人労働者は中国、ベトナム、フィリピン、ブラジル、インドネシア、ネパールの人たちが多いわけですが、こういったクラウドファンディングにもアクセスできず、厳しい状況にいる人たちが非常に多いと思います。GoFundMeがそのまま日本でもプラットフォームを開設してくれるか、同様のサービスが日本にもできて欲しいと思います。

日本の外国人労働者数について

www.nippon.com

 中国の医療費救済、相互扶助の寄附型クラウドファンディング

軽松筹(QFund)」は、2014年9月に、低所得者を中心とした癌などの重大疾病の治療費をネットで募る寄付型クラウド・ファンディング事業からスタートしている。この場合の資金調達は、社会的なプロジェクトではなく、患者本人の治療費の補填が目的となっている。QFundのプラットフォーム上で患者毎にプロジェットを立ち上げ、病状、検査報告、実際にかかった治療の明細などを公表し、目標とする治療費額を広く募っている。なお、資金調達者は、事前に診断書や病歴、検査報告書、身分証明書、戸籍謄本、公安局が発行した証明書を運営会社であるQFundに提出し、審査に合格する必要がある。

医療専用で寄付型という位置づけから、手数料は無料であるが、診断書の偽造や内容に虚偽があるなどの違反行為が発見された場合は、携帯番号やIDナンバーの一部、掲載した際のタイトルなどが公開され、同業他社との情報共有、関係部門への通報がされることになっている。

(中略)

一方、QFundでは重大疾病などに事前に備え、相互扶助に近い働きをする相互扶助プラン-「軽松互助」も提供している。

「軽松互助」は、まず、プラットフォーム上で氏名とIDナンバーを登録し、Weチャットペイなどのスマホ決済を通じて、10元(約170円)の会費(保障コスト)を納付する(図表6)。なお、会費はQFundの経営主体から切り離され、同社が別途設立したプラットフォーム上の公益基金(「軽松公益」)に集められ、基金会が管理することになっている7。

加入対象年齢は生後28日以上~65歳までで、規定した30種の重大疾病に罹患した場合、審査の上、50歳未満であれば30万元(約500万円)、51~65歳は10万元(約170万円)が給付される(但し、軽度の悪性腫瘍の場合は年齢に関係なく6万元を給付)。17歳以下の場合は60種類の重大疾病が対象となっている。病状や治療内容によってかかる医療費は異なってくるが、例えば30万元を受給できた場合、まず、最初の段階で治療を諦めなくてもよくなる。

(中略)

このように軽松互助が支持を受けている背景には、一般的な重大疾病医療保険の保険料よりも低い保障コストで相応の給付が受けられる点があろう。加えて、運営側が収益にあたる管理費を徴収していない点、更に、会員間で助け合うという最も基本的な相互扶助の精神が分かりやすく表現されるからであろう。給付を受けた場合は内容等が公開されるため、会員間の連帯感を生みやすい。保障コストを拠出した会員側にとっても、自身の医療保障への備えもあるが、「わずかな負担であっても会員仲間を救えた」といった社会への貢献や支援といった感覚が醸成される。

出典:“相互扶助型”クラウド・ファンディング?、中国で進む民間医療保障の多様化【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(37) | ニッセイ基礎研究所

個人を対象とした治療費救済および相互扶助の寄附型クラウドファンディングは、格差社会が進む日本でも、新型コロナ感染拡大下の中、早急に求められているのではないかと思います。

 

生活困難者が自身のニーズを直接満たすことができるシステムの構築

ここまで調べてわかったのは、生活困難者や生活困難者ではないもののギリギリの境界線上で耐えている人たちが、簡単に自身への寄附や援助を募れるシステムが日本にはないのではないかという現実です。

ベーシックインカムなど他にも政策としての方策は色々ありますが、自分で簡単に色々なニーズに対する援助や寄付を募れるシステムの構築が社会のセーフティーネットの一つとして必要なのではないだろうかと思います。

そういった意味で、既に8500万人の人口を有するLINEや資金を直接的に提供できそうなPay Payなどのキャッシュレス決済アプリはこういった生活困窮者が簡単にアクセスし、自身への寄附や援助を募れるプラットフォームの構築に大きく関われると思いますのでこういった企業の社会貢献にも期待したいと思います。